2012年10月8日
日本を救う次世代ベンチャー100に選ばれた山形大学の城戸教授が開発した有機ELを使った照明器具は、植物工場のコスト問題を解決するか
蛍光灯やLEDに比べて電気代が安く、光の調合が容易な有機ELは、特定の野菜の生育に効果的な光源を作ることができる
植物工場は、屋内で人工的に植物を栽培するシステムである。
農薬や化学肥料を使わずに、安全で高品質な野菜を
生産することができるというメリットがある。
しかし、植物工場の普及には、光源にかかるコストが大きな課題となっている。
蛍光灯の場合は電気代が、LED方式の場合は初期投資がかさむ。
いずれにしても利益を確保するのが難しいというのが現状だ。
そうした問題を解決すべく、2012年に設立されたのが、
ナチュラルプロセスファクトリー株式会社である。
同社は有機EL（エレクトロ・ルミネッセンス）を光源に利用した植物工場を設計した。
有機ELは、有機物を薄く塗布したガラスやプラスチックの間に
電極を挟んで電流を流すと発光する現象を利用したものである。
有機ELによる植物工場運営は、現在のところ、LEDよりもコスト高だ。
だが、同社の技術顧問である山形大学の城戸教授は、有機ELの将来性について次のように説明する。
「今後、パネルの量産効果が出れば導入コストが下がるうえ、
電気代は蛍光灯の3分の1～4分の1に下げられる。
加えて、有機ELは光の調合が容易なため、
特定の野菜の生育に効果的な光源を柔軟に作ることが可能になる。
例えば、レタスは青色光が多いと葉が厚くなり、赤色光が多いと葉が甘くなる。
有機ELなら、そのような光の配分を自在に変えることができるのだ」
ナチュラルプロセスファクトリーは、有機ELを使った植物工場の実証実験を行っている。
同社は、日経ビジネスが選ぶ「日本を救う次世代ベンチャー100」にも選ばれた。
有機ELを使った植物工場は、植物の栽培環境を最適化することで、高品質で栄養価の高い野菜を生産することができる。
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